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三浦大知の『Yours』は通算何曲目のラスボス曲になるか

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恒例になりつつある?三浦大知の新曲感想書き殴りエントリ『Yours』編。一聴目のインパクトが大きくて、膨大な情報量飲まれるも自分の言葉なりに咀嚼してアウトプットしたい!って思わせる力が図抜けているんですよ。

 

今年春のツアーが全公演中止になってしまい #1SongHomeLive と題して自宅パフォーマンス動画を1週間限定でインスタとYouTubeにあげる活動をしていて、ちょうど去年のツアー映像がアマプラで解禁になるとのことで、ここでしか聞けない新曲としてお披露目され、その後配信リリースされた曲。木曜日リリースって相当珍しいと思ってるけど、何かの記念日なんですかね?本当に急遽決めたのかな?

 

 

『球体』以降の曲の大半がそうなんだけど、今回もラスボス感が源泉かけ流し状態でして、まさに日本の音楽シーンにおける武家の棟梁、J-POP征夷大将軍の名に相応しい曲(J-POP征夷大将軍という言葉、そろそろ普及してきても良い頃では?)

 

実は『I'm Here』がシングル盤として最高のバランスという内容の記事も書いてるけれど、鉄は熱いうちに打って先にこっち仕上げました。一言で言ってしまえば最強なんだけど、どういう面で最強かを分類してみました。

 

 

コロナ以降にリリースされた曲の中で最強

まずは曲の大枠から、作詞は三浦大知ご本人、作曲は『COLORLESS』と同じ、UTAさんとの2人体制、『I’m Here』は作曲UTAさんので、個人的には直接的に繋がってると解釈した。上記2曲を足して2で割ったような曲。

 

※参考:『COLORLESS』の感想も合わせてどうぞ

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歌詞を一言にまとめるなら「コロナなんて関係ない、自分の人生を進め」

色んなアーティストがコロナウイルス自体に、非常事態宣言下の状況に対して曲を作っているけど、自分の知る限りでは他の誰とも被っていない。

 

ここでは歌詞を中心に見ていきます。星野源の『うちで踊ろう』もそうだったけど、曲が短くなる分、1単語たりとも見逃せないほどに歌詞の濃度が上がってる。

まず1番

これは人生

読めない未来

それでもRepeat毎日

止まる事なく進んでいく

正に今2020年に起きている事について触れてて、明らかに今までの日常とは異なっていて1日毎に状況が変わるけど、毎日は続いてる。

何が起きているのか どうすれば良いかが、分からない事だらけな世の中で

誰のものでもない 俺の物語

何をどうするか 選び続けたい

喜びも悲しみもこの手で繋いで

光放つ命抱きしめ

此処で

と力強く宣言する。一人称で「俺」をほっっっとんど使ってこなかった三浦大知がこのタイミングで使うことで歴代トップの力強さが備わる。

 

2番では1番と角度が異なって、「これは人生」「止まる事なく進んでいく」という言葉が真逆な文脈で使われる。個人的に1番好きなパート

今起きていることは悪い夢ではなく、現実に起きていて人生に直結してる。それでも止まる事なく進んでいくと歌詞が続くが強い意志を感じる。各種SNSの投稿やアーティスト同士のコラボ活動など、この状況下でも精力的に活動しているのも重みを増す。

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ただキレているだけでもなく、憂いているだけでもなく、しっかり認識した上でどうするかを歌ってるのははSKY-HIの自宅パフォーマンス曲とも通じる。

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2番Bメロでようやく他者が出てくる。

誰のものでもない 君の物語

奪われてはいけない 全てが尊い 

 

『I'm Here』でも「誰のものでもない」というフレーズが出ていて、リリース当時2020年1月と6月の今では同じフレーズでも聞こえ方がまるで変ってしまった。だけど逆に言えば「どんな状況であっても、自分の人生は自分で進めていく」というメッセージにも読める。

 

 『COLORLESS』もそうだったけど、「俺はこれだけやってる。じゃぁ君はどうなの?」とボースティング(HIP HOPの歌詞で良く出てくる、俺自慢)と激励(聞き手を奮い立たせる)を1曲のメッセージとして両立させるのがポップスターなんですよ。

「君は一人じゃない」「翼広げて」に代表されるような、無責任に知ったような語り口での肯定ではなく、自分の行動を示した上で「君ももっとできるのでは?」と問いかけている。三浦大知の活動を深く追っているほど、歌詞が深くまで響く。

 

あとは、文末の末尾が数行単位でi→u→i→e→i→u→i→eと揃っていて漢文みたいな韻の踏み方をしてて(『COLORLESS』は2文字だったが、今回は1文字)、かつ「此処で」がサビスイッチになって、最後の「踊れ」では3文字で固く踏んでいることで、文脈だけでなく言葉の響きとしても気持ちよく感じる仕組みなのが見事。

 

2020年6月にリリースする曲として最強

続いてサウンドの話。全体的な雰囲気は『COLORLESS』に近いけど、より無機質になってる。リモート環境下の制作だからか、音も声もザラついているけど、それがこの曲に非常にマッチしてて、世紀末すら感じる中で力強く叫んでいる姿がイメージされる。

ただ、最初の「ペイペイ」言ってるように聞こえるコーラスはちょっと笑いそうになってしまうw

 

そしてこれはメチャクチャ重要なので何度も繰り返し言い続けるけど、圧倒的な歌声を持つからこそ、どれだけ攻めたアレンジでもギリギリのラインでエッジーとキャッチーが両立できる。

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Bメロ後半からベースの主張が激しくなりビルドアップしてサビはボーカル無しのドロップと分かりやすくEDMな、要はベタな展開。

しかし、そもそもこの曲は2020年6月に、”三浦大知がCOLORLESSの後に”リリースした曲だから、この程度の衝撃であって、他の人が出したらキャリア最高を更新する場外ホームランか、理解が追い付かずに賛否別れてしまうだろう。 

 

聞いてる側が少しずつラスボス耐性が身についてきているから、すごく攻めているけどポップに聞こえてしまう。

星野源の新曲がポップウイルスとして、今まではヘンテコに聞こえるサウンドもポップに感じさせてしまうのと似ている。 2020年代も我々はこの2人のポップスターから逃れられない。

 

自宅パフォーマンスとして最強

曲自体の話から少し離れるけど、ここ数ヶ月で増えた「自宅で行うパフォーマンス動画」部門で文句なしの優勝を果たした件に触れないわけがない。

 

『COLORLESS』はライブで初披露して、今回はアップロードされた動画で初披露となった。事前の大きな告知はなく、インスタのストーリーで告知を見た際は

「自粛期間中だから自宅からパフォーマンス動画上げてます。ライブ映像が解禁なんで、せっかくだから今日は最近作った曲にしまーす。あ、時間もあったんで素人ながら動画編集も自分でやってみたので、ぜひ見てください。くれぐれもお手柔らかに~」

みたいなテンションだったから完全に気を抜いていて、動画見て度肝抜かれた。

 

センターステージで360゜のフロアに全方位ペコリするような、虫も殺せないニコニコした聖人君主的なキャラで出といて絶対攻略不可なラスボス曲出してくる。南海キャンディーズの山里さんがわざと下に見られに行って、寝技に持ち込んで関節技キメる受けの笑いをかっさらってく姿に匹敵する程の達人の域

 

ちょっと前まで星野源と暇を持て余した神々の遊びやってた人とは思えない。

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 誰一人として足元にすら及ばないけど、『COLORLESS』より身近に感じるという話。

 

今は公式からは見れないけど内容としては、部屋で照明だけが不規則に点滅する映像が続き、曲の後半で突如三浦大知が上半身のみ登場し、踊りはせず体を揺らしているだけ、それが曲の雰囲気と見事に合致している。

自粛期間に色んな配信ライブやインスタライブでのパフォーマンスを見て、どうしても実際のライブ会場に比べて没入感がないことに不満を思ってた。

だけど新曲で、アーティスト自身が登場せず展開が読めない映像が流れて、不穏なサウンドが乗っかることで目が離せなくなり、満を持して少しだけ本人登場って、そんなの一瞬たりとも目が離せないし、この状況を処理しようと脳みそフル回転して2分30秒とは誰も思えない。

いつものライブと同じことやってたらダメだけど、やり方はいくらでもあるという可能性も感じることができた。

 

同世代以外には分かりづらい例えですが、遊戯王というカードゲームで「封印されしエグゾディア」ってモンスターがいるんですよ。

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単体だと攻撃力守備力ともに1000と、まぁまぁのザコ(2500~3000位が強いモンスター)なんだけど特殊能力があって、こいつは胴体で、両手両足のカードが別にあって5枚全てが手札に揃えば無条件で勝ちになるんです。

今回の『Yours』動画って、踊れないから三浦大知のパフォーマンスとしては全く全力ではないのに、このクオリティとメッセージ性持ってる=封印されしエグゾディア単体の状態でも攻撃力守備力共に1万みたいな状態でして、要は「チートすぎるやろ」って言いたいけど、伝えれ~

 

(2020年8月追記)

MVが公開され、無事にエグゾディア完全体が降臨なさった。

密を避けるためか、廃墟で1人踊る姿を回りながら撮るだけのシンプルな作り、だからこそ動き1つ1つが本当に恐ろしい。いくら緩急があるとはいえ「人類が無意識的に持ってるリミッターを解除してるのでは?」と疑ってしまうほどのキレ

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次のアルバムが最強の予感しかしない

そろそろまとめ、この曲はコロナ以降リリースの曲で最も力強いメッセージで、『COLORLESS』の後だからまだ理解できるけど三浦大知以外は到底乗りこなせない難解でいて、さらに自宅パフォーマンスでは他とのレベルの差をこれでもかと見せつけてきた、相変わらずのラスボス芸が炸裂していました。さすがのJ-POP征夷大将軍

 

繰返しになりますが『球体』以降の三浦大知の進化が本当にとんでもなくて、知らないうちに我々リスナーも調教されている。そこで気づいちゃったけど、実は大ちゃん、ここ10年くらいのBUMP OF CHICKEN並みにシングル曲が溜まっていて、そろそろ次のアルバムが見えるころなんですよ。

 

『Blizzard』に『COLORLESS』に『Yours』と、ラスボス曲だけでも3曲で、他は『Be Myself』『片隅』『I’m Here』が入るとなると、天地創造のようなストーリーで、最終的に俺はこれだけやってる、だからお前も自分らしくあれ」みたいなとんでもない強度なアルバムになる気がする。今年中に何卒よろしくお願いいたします。

 

(最後に宣伝)少ないですが、他の曲やライブの感想も書いてます。

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それでは